簡体字と繁体字の違いは?翻訳に必要な基本知識と翻訳業者を選ぶポイント
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社内プロジェクトの一環として中国語への翻訳が必要なとき、「簡体字・繁体字」の違いに疑問を感じるかもしれません。どちらも同じ中国語ですが、正しい知識を持たなければ間違った翻訳をする恐れがあります。
そこで今回は、簡体字と繁体字の違いについて解説します。翻訳業者を選ぶポイントも解説しますので、外部委託する際は参考にしてみてください。
言葉の違いを理解することで、自社ブランドや商品・サービスの魅力・イメージを適切に伝えることにつながります。海外進出を成功させるためにも、基本的な知識を頭に入れておきましょう。
簡体字・繁体字とは?起源と使用地域
簡体字・繁体字とはどのような文字なのか、その起源・使用地域について解説します。
簡体字
簡体字とは、1950年代の中国で制定された漢字簡略化法案により、これまで使用されてきた漢字を簡略化した字体です。
漢字の簡略が行われた背景としては、当時使用されていた漢字は複雑な形状のものが多く、意味を理解できない国民も相当数いた状況があげられます。
そのため、当時の中国では漢字の簡略化政策が進められ、簡体字が普及したようです。現在では、中国・マレーシア・シンガポールなどで使用されています。
繁体字
繁体字は、古典的で美しいバランスの字体ではあるものの、画数が多く複雑な書き方をします。
繁体字は、香港・マカオや台湾で使用されています。これらの地域は、当時の中国政府の行政府区分に含まれていなかったため、漢字の簡略化は行われませんでした。
なお、香港・マカオと台湾は同じ繁体字でも、表現などに異なる傾向があります。一概に繫体字といっても、香港・マカオの場合は、本土で話される中国語の一方言。台湾の場合は「異なる言語」と捉える考え方もあります。
簡体字と繁体字の違い
簡体字と繁体字の違いを3つ解説します。
字体・表現
簡体字と繁体字では、同じ意味でも字体・表現が異なります。
【同じ意味でも字体・表現の異なる言葉】
意味/簡体字/繁体字
- 大浴場/大浴场/大浴場
- タクシー/出租车/計程車
- マグロ/金枪鱼/鮪魚
簡体字は繁体字を簡略化しただけのものではないため、上記のように字体・表現が異なる言葉もあります。一方、同じ言葉でも、意味が異なるケースもあります。
【意味が異なる言葉】
言葉/簡体字の意味/繁体字の意味
- 土豆/じゃがいも/ピーナッツ
- 計算機/パソコン/電卓
地域によって使い分けなければ、コミュニケーションで誤解を生む可能性があります。
言葉のニュアンス
簡体字と繁体字は、言葉(文字の表記)の微妙なニュアンスにも違いがあります。言葉の成り立ちは国の歴史や社会的背景により異なり、与えるイメージにも違いが出てきます。たとえば、簡体字との「酸奶」はヨーグルトの意味ですが、繁体字の場合は「腐敗した乳製品」というニュアンスです。
言語を翻訳する場合、上記のようなニュアンスの違いにはとくに注意を払う必要があります。相手との直接的なコミュニケーション(通訳)であれば、仕草や表情などからニュアンスの違いを補填できるでしょう。
しかし、文字の翻訳では、微妙な違いが誤解を生むリスクがあります。相手を不快にさせないためにも、解釈の違いを生まない注意が必要です。
文中の記号
簡体字と繁体字では、文中に使う記号の表記・使い方にも違いがあります。
【記号の違い】
<カギカッコ>
- 簡体字:‘’ ※1
- 繁体字:「」 ※2
※1 “”の場合も
※2 『』の場合も
<句読点の位置>
- 簡体字:縦書き…右上、横書き…左下
- 繁体字:中央
上記のとおり、記号の一般的な使い方も簡体字と繁体字で異なります。注意が必要なのは句読点の位置です。
簡体字の句読点は、日本語表記と同じようなイメージで使います。一方、繁体字は文の中央に句読点を打つので、日本人としては馴染みがないかもしれません。
また、句読点の種類は、どちらも共通して「,」と「、」です。「,」は文章を区切る、「、」は意味を並列させるときに使います。
簡体字と繁体字の翻訳を委託する際のポイント
用途に適した訳文に仕上げてもらうために、簡体字や繁体字の翻訳を委託する際は以下のポイントを押さえましょう。
<委託時のポイント>
- 訳文を使う国や地域を伝える
- ネイティブ翻訳者がいる業者を選ぶ
「簡体字・繁体字とは?起源と使用地域」でも解説したとおり、簡体字と繁体字は使用される地域が異なります。訳文を使用する地域に合わせなければ、こちらの意図・メッセージが充分に伝わりません。
また、会社名や商品名などの固有名詞は、発音に合わせて漢字をあてます。自社ブランドのイメージに合う漢字で翻訳してもらうためにも、中国語翻訳への理解が深いネイティブ翻訳者がいる業者を選びましょう。
まとめ
簡体字と繁体字は中国で使われる文字ですが、使用される地域や表現、ニュアンスなどの違いに留まらず、異なる言語といっても過言ではないほどの差異があります。現地の方は日常的に使わない言葉に違和感を覚える場合もあり、意図が正しく伝わらないケースもあるようです。
そのため、日本語を翻訳する際は、訳文を使用する地域に合わせる必要があります。商品やサービスに間違ったイメージを持たれないためにも、翻訳を委託する際は「どの国・地域で訳文を使うか」を明確に伝えましょう。
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